ナンパ講習1

三ヶ月くらい前の話をしたいと思う。

 

カリスマナンパ師のKさんを初めて見たのはとあるイベントだった。

彼はすごくギラギラした雰囲気を醸し出していて、かつすごくイケメンだった。

近くの席に彼は座っていた。

すごくドキドキしたし、何度もチラ見してしまった。

彼はすごく魅力的だった。

今ままでは男性に魅力的だとか感じたことはなかった(別に男性に目覚めたというわけではない)。

ナンパ師を見たのはそれが初めてだった。

彼らを見ていて話を聞いていると歩いている人に声をかけて、その日のうちにセックスをするっていうのもまんざらありえない話ではないなと思った。

当時の僕は、あったその日にセックスをするなんて全く考えられなかった。

イベントの最後にTさんが実際やってみないとわからないと言っていて、それに共感したのでナンパ講習というものを受けてみようかなと考えるようになった。

習うならKさんに習いたいと思った。

しかし、イベント後にすぐ講習の申し込みをすることはできなかった。

僕は彼のようにイケメンではないし、服装もすごく地味だし、世間知らずだし、こんな僕が道に立って、女性に声をかけても無視されるのが関の山だと思っていたからだった。

二三週間後ぐらい悶々とした日々を過ごしていたが、くもりの天気に急に訪れた晴れ間のように自己肯定感が高まった時どうしても変わりたいと思って、メールを送ってみた。

正直、すぐに後悔した。

Kさんから一週間声掛けをしてみてから連絡をくださいという返信を頂いた。それらはこれが全てではないが、過去の記事を参照していただきたい。

過去の記事は正直全く内容がないしつまらないですが。

 

毎回ものすごく怖くて気持ち悪くて吐きそうだし、緊張してすぐ喉がカラカラになるし大変だった。

一週間、憂鬱な気持ちと闘いながらやり終えた。

その旨をメールをしたら、とある日の夕方に梅田で会うことになった。一番自分がおしゃれだと思う服装で来てくださいとの事だった。

 

当日は朝から緊張しっぱなしで、授業の内容なんて全く耳に入らなかった。

こんなヘタレがナンパなんてできるのか、無理ではないのか。

そんな事ばかり考えていた。時間が近づくにつれ、緊張は一層高まった。

おしゃれな服なんてよくわからないので、青いシャツに緑色のカーディガン、ベージュのチノパンというよくいるつまらない学生の格好をして梅田へ向かった。

到着して時間になると変な汗が滲むのを感じながら、Kさんに電話をした。

そしてついにKさんと対面した。

第一印象は、イベントの時よりもギラギラしたものよりも何か不思議で黒くて怪しい微光を発しているように感じた。

梅田の街を歩きながら話をした。

そして何か食べようということになってマクドナルドに入った。食べ物をもって席について開口一番に可愛いって言われない?と言われた。

僕は幼く見えるとかなんとかとか言われる。その度ムスッとしてしまうのだが、その時だけは嬉しかった(再度繰り返すが男性が好きというわけではない)。

自分の過去のこと、なぜナンパをしようと思ったのかを話したり、フェミニズムに染まった半狂乱の人の話などを聞いた。

彼と話しているだけで不思議とだんだん僕の気持ちは高揚していった。

しかし君はナンパができるようになるまですごく時間がかかるよと言われた。やっぱりかと思ってズーンと心臓が沈んでいくような感覚がした。

とりあえず、今日はいろんな人に声掛けをしてみようということになった。

 

最初に立ち位置やイヤホンの取らせ方を軽く教わった。 

そして背中を押されながら、一人目に声をかけた。

声が小さすぎて、二回ぐらい「え?」と言われたが、とりあえず道は聞くことができた。

 

その後は割りとトントン拍子で声をかけることができた。

歩いている人ではなく、待ち合わせをしている人にも声掛けをした。

何かゲームをしているかのような、バーチャル世界にいるような感覚で声をかけたら、辛いどころが楽しいとさえ感じた。

孤独に一人でナンパしているのではなく、後ろにKさんがいて安心感が合ったからかもしれないが、消極的どころが積極的になっていった。

押されなくても声が掛けられるようにすぐなった。自分にこんな一面があるなんて思いもしなかった。

 

駅の構内で、Kさんにこの中にいる人で声をかけるとしたら誰にしますか?と自分だったらこの人だなというのを頭に置きながら試しに聞いてみた。

不思議と一緒の人で、あの人に声を掛けに向かっていった。

道聞きで声を掛けたら、案内してくれるらしい。色々話していく中で、どんな人がタイプですか?と聞いた。そしたら、割りと童顔の人が好きかなと彼女は言った。

今までそういう人としか付き合ったことがないとも言っていた。

もしかしたら、いけるかもしれないと思った。頭の中は彼女とセックスすることでいっぱいになって、軽く勃起していた。

目的の場所まで距離があったので、話すことがなくなってしまって、沈黙の時間が続くこともあったが、頑張って話を続けて道を聞いた場所の前までついた。

そして別れ際に、もっとお話をしたいので、よかったら連絡先を教えて下さいと言った。

そしたら、ラインIDを打ってと言われ、携帯を渡された。僕の手はあまりのうれしさで震えていた。初めての番ゲだった。

勃起してしまったこと話題が尽きてわけもわからない話をしてしまったことを二人でゲラゲラ笑いながら話した。

言葉にならないくらい嬉しかった。

 

次に平均化訓練をした。すごく万能感に浸ることができた。Kさんはナンパするときは常にこの状態でいたほうがいいとおっしゃっていた。

 

次に女子大生っぽい見た目の人に声を掛けた。

声を掛けた時彼女はすごく嬉しそうにしていた。

何を話したかは覚えていないのだが、連絡先を聞いたら彼氏がいるのでごめんなさいと言われた。

Kさんのところに戻ってみると、

Kさんはいいからもう一回行って来いと僕に言った。

よくわからないまま走って追いかけて、彼女に付き合う云々かんぬんじゃなくてあなたと話してみたいと目を見て言ったら、あっさりと連絡先を交換することができた。

 

最初のナンパ講習はこんなかんじで2番ゲだった。

そうは言うもののそんなに和めていないから、あんまり意味はないからねと最後に釘を刺された。事実、ラインのやりとりも続かなかった。

気づくとKさんに心酔している自分がいた。

これがカリスマ性なのだろうか。そんなことを考えながらしたり顔で帰路についた。

 

これは大好きなシガーロスの曲

このPVは弱者であるおじいちゃんおばあちゃんが蜂起して抵抗している。

弱い自分と重ねて見てしまう。

このブログの草食系小男の反撃とマッチすると思う。